下肢痛

下肢痛について│なかむら鍼灸院長浜整体院

Ⅰ、原因

下肢の痛みの原因は、1)腰椎疾患(椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎すべり症など)、2)末梢血行障害(閉塞性動脈硬化症、バージャー病、下肢静脈瘤)、3)末梢神経障害(糖尿病性、アルコール性、薬剤性など)、4)複合性局所疼痛症候群などがある。

Ⅱ、症状

腰椎疾患由来の下肢痛は、いわゆる坐骨神経痛とよばれ、神経が椎骨や椎間板に圧迫されて、下肢や臀部に放散するしびれや痛みが生じる。代表的な疾患に、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症がある。
末梢血行障害のうち、閉塞性動脈硬化症は、下肢の太い動脈が、動脈硬化により閉塞して、血行が悪くなるため、下肢の冷え、チアノーゼ(←皮膚の色が紫色になる現象)、間歌跛行:休み休みでないと歩けない状態などの症状がでてくる。
末梢神経障害では、おもにすねから足の指先にかけて、びりびりとした痛みや、焼けるような痛みがでてきます。

Ⅲ、分類

腰痛、下肢痛を起こす疾患群
① 脊椎の構造上の欠陥によるもの脊椎分離症、すべり症、側弯症、脊柱管狭窄症
②椎間板の病変に由来するもの椎間板ヘルニア、変形性脊椎症
③筋、筋膜性のものぎっくり腰
④外傷性のもの打撲、捻挫、骨折、脊椎上下関節捻挫
⑤炎症性のもの化膿性脊椎症、脊椎カリエス
⑥代謝性のもの骨粗鬆症、骨軟化症
⑦腫瘍によるもの腰仙部腫瘍、馬尾腫瘍、悪性腫瘍の骨転移
⑧内臓疾患に由来するもの 内科内科胃腸・膵臓・肝臓疾患、虫垂炎、腹部大動脈瘤
泌尿器科腎臓・尿管結石、膀腕疾患
婦人科子宮筋腫、子宮癌、子宮内膜症、子宮後屈、卵巣嚢腫
⑨下肢疾患に由来するもの変股症、膝疾患、脚長差、扁平足
⑩心因性のもの精神的ストレス
⑪環境因子のよるもの職業病

く日本医師会雑誌、128、12、2002、参考>

1)下肢の疼痛

疾病主症状
坐骨神経痛坐骨神経路の疼痛、バレー氏点の証明
大腿神経痛大腿の前・内側、下腿内側の疼痛
閉鎖神経痛大腿内側の疼痛と知覚異常
大腿皮神経痛大腿前外側の疼痛と知覚異常
間欠性跛行症歩行中止にて鈍痛、足背動脈の触診不能
脊髄の疾患椎間板、移行椎、骨折、黄靱帯
直腸・子宮の癌便中の血液、子宮出血
股関節炎運動痛、腫脹、踵部打による股関節痛
下肢静脈瘤立位のとき下肢に瘤を現わす
偏平足足底の扁平、足背・足底痛
血栓静脈炎歩行・立位にて増痛、緊張感、浮腫
肢端紅痛症指部の激痛、潮紅、暗赤色
レーノー病肢端蒼白厭冷、次に青紫、壊死
筋腱の疾患筋の握痛、腱腫脹、歩行痛

2)下肢の運動マヒ

疾病主症状
坐骨神経麻痺下腿の屈曲・足指の運動障害
大腿神経麻痺大腿を持ち上げるのが困難
脳卒中脳出血、脳軟化症、くも膜下出血
運動失調症数個筋群の協調障害、小脳迷路脊髄障害
脊髄空洞症筋萎縮、痛・温覚消失、皮膚栄養障害
急性脊髄前角症軽発熱、弛緩性麻痺、腱反射消失
ランドリー麻痺運動麻痺は下肢から上肢におよび死す
らい病手筋の萎縮、知覚脱出、指端奇形
ヒステリー間歌的、電気反応正常

3)下肢の疼痛と運動麻痺

疾病主症状
神経炎圧痛不鮮明、弛緩性麻痺、知覚鈍麻
脊髄性筋萎縮症手部から始まる筋萎縮、知覚障害
神経性筋萎縮症足部から始まる麻痺と萎縮、知覚鈍麻
進行性筋萎縮症胴部およびこれに近接する四肢筋萎縮
脳・脊髄梅毒知覚・運動混同麻痺、ときに疼痛
脊髄腫瘍始め知覚過敏、知覚鈍麻、運動麻痺
脊髄出血急激な激痛、知覚・運動麻痺
脊髄労電撃様疼痛、腱反射減弱、運動失調
脊椎炎神経痛、ついで麻痺、痙性麻痺

4)下肢の限局性運動充進

疾病主症状
排腹筋痙攣腓腹に激痛を伴う強直性痙攣