眼疾患

眼疾患について│なかむら鍼灸院長浜整体院

Ⅰ、はじめに

眼に関する訴えが特異的でない場合、訴えの原因を確定するため、眼の全ての部分と付属器についての完全な病歴ならびに検査が必要である。症状の発生部位と持続時間、痛みや分泌物、発赤の有無と性状、視力の変化について患者に尋ねる必要がある。

眼疾患には、目の疲れなどの軽度のものから失明に至る重度のものまで数多くの疾患があり、加齢に伴って発症する確率が高くなると言われている。
高齢者に多い眼の病気には、白内障と加齢性黄班変性(AMD)がある。
その他、加齢性の眼疾患以外には、糖尿病が原因で併発する糖尿病性網膜症がある。

Ⅱ、主な目の病気(眼の病気、眼障害、眼科疾患)

角膜・円錐角膜(えんすいかくまく)・蚕蝕性角膜潰瘍・角膜炎
・顆粒状角膜変性症・水疱性角膜症・翼状片
眼圧異常・高眼圧症・緑内障
眼位異常・斜視
眼球運動障害・外転神経麻痺・下斜筋過動症・上斜筋麻痺・Duane症候群
・動眼神経麻痺・Fisher症候群
眼瞼(がんけん)・眼瞼悪性腫瘍・眼瞼下垂・眼瞼痙攣・眼瞼内反
・霰粒腫(さんりゅうしゅ)・兎眼症・麦粒腫(ばくりゅうしゅ)
強膜・強膜炎・強膜軟化症
屈折異常・遠視・近視・乱視
結膜・悪性リンパ腫・瞼裂斑・結膜炎・結膜下出血・類皮腫
色覚異常・色盲視神経疾患・視神経炎・視神経低形成・レーベル病
硝子体(しょうしたい)・硝子体出血・星状硝子体症・第1次硝子体過形成遺残
・Terson症候群
視路・脳疾患・下垂体腫瘍・視束管骨折・多発性硬化症・Devic病・脳梗塞
水晶体・水晶体脱臼・水晶体偏位・白内障・落屑症候群
調節異常・老視
瞳孔異常・adie症候群・Horner症候群・外傷性散瞳
ぶどう膜・ぶどう膜炎
網膜・網膜剥離(もうまくはくり)・網膜分離症など
涙器疾患・ドライアイ
涙道疾患・鼻涙管閉塞・涙小管炎・涙嚢炎
全身疾患に伴うもの・SLE(網膜症)・甲状腺眼症・重症筋無力症

東洋医学的には

目は肝の外候と言われる。
一般に赤く腫れて痛む急性の眼疾は“肝火上昇”、慢性のかすみ目・めまい、あるいは両目の乾燥および鳥目などは“血が肝を養わず”の疾患に属する。
“霊枢・脈度編”=肝の気は目に通ず。
“素問・金匱真言論”=肝は目に開孔す。
“素問・五臓生成論”=肝は血を受けて能く視る。
『五輪八廓説』
肉輪 上・下眼瞼(眼胞)は脾に属し、脾は肌肉をつかさどる。
血輪内外眼角(二眥)は心に属し、心は血をつかさどる。
気輪 鞏膜(白睛・白仁)は肺に属し、肺は気をつかさどる。
風輪 角膜(鳥睛・黒睛)は肝に属し、肝は風木の臓である。
水輪 瞳孔(瞳人・瞳神)は腎に属し、腎は水の臓である。

Ⅲ 、鍼灸で扱う主な疾患

白内障(しろそこひ)

(診察)
先天性白内障:胎児期に母体が風疹ウイルスに感染。
後天性白内障:加齢による老人性白内障、外傷、糖尿病性。
白内障を主訴とする患者は希で、問診で目がかすむ、目の前を黒いものが飛ぶ(飛蚊症)などの視覚障害がある場合、白内障の存在を疑う必要がある。

(効果の良い症状)
老人性白内障の初期。

(効果の良くない症状)
先天性白内障や糖尿病性、外傷によるもの。

(治療)
5~7日に1度の継続治療で、症状の緩解や進行の停止が認められ、少なくとも半年間以上の継続治療をすることが望ましい。
:目医者殺しの灸といわれ、眼疾患すべてに効果のある経穴。
増明1(新穴):眉弓中央の内方約2分で眼窩上切痕部に取る。
眼窩上縁の沿い眼窩先端に向けて1~1.5寸刺入。
球後(奇穴):眼窩下縁外方、瞳子髎と承泣の中央。上方30°、内方30°の方向に毛様体神経節に向けて約1~1.3寸刺入。
中谷眼点A・Bの低周波置針療法
その他:天柱、風池、肩井、肝兪、腎兪、蠡溝。

近視(近眼)

(診察)
先天性白内障:胎児期に母体が風疹ウイルスに感染。
後天性白内障:加齢による老人性白内障、外傷、糖尿病性。
白内障を主訴とする患者は希で、問診で目がかすむ、目の前を黒いものが飛ぶ(飛蚊症)などの視覚障害がある場合、白内障の存在を疑う必要がある。

(効果の良い症状)
老人性白内障の初期。

(効果の良くない症状)
先天性白内障や糖尿病性、外傷によるもの。

(治療)
5~7日に1度の継続治療で、症状の緩解や進行の停止が認められ、少なくとも半年間以上の継続治療をすることが望ましい。
和髎:目医者殺しの灸といわれ、眼疾患すべてに効果のある経穴。
増明1(新穴):眉弓中央の内方約2分で眼窩上切痕部に取る。
眼窩上縁の沿い眼窩先端に向けて1~1.5寸刺入。
球後(奇穴):眼窩下縁外方、瞳子髎と承泣の中央。上方30°、内方30°の方向に毛様体神経節に向けて約1~1.3寸刺入。
中谷眼点A・Bの低周波置針療法
その他:天柱、風池、肩井、肝兪、腎兪、蠡溝。

麦粒腫

眼瞼炎における限局性の急性化膿性炎症(めいぼ、めばちこ、ものもらい)、化膿菌による腱毛腺、瞼板腺の急性化膿性炎症

(診察)
眼瞼縁(睫毛腺、瞼板腺)に於けるブドウ球菌などの化膿菌による限局性の急性化膿性炎症。
眼瞼の発赤、腫張、自発痛、眼球結膜充血・浮腫を来し、3~4日後に自潰排膿し治癒に向かう。

(効果の良い症状)
早期か極期を過ぎてから最適。
痛みについては全期間を通じて有効。

(効果の良くない症状)
炎症と腫張が高度の場合。

(治療)
鍼灸治療と並行して、初期では炎症を抑えるため冷却し、極期を過ぎている場合には自潰排膿を促進するため暖める事もある。
眼瞼は脾・胃経が司り、皮毛は肺経が司るといわれ、脾経、大腸経の要穴が選穴される。
地機、合谷または曲池(多壮灸):鎮痛・消炎作用。
二間(沢田流):まず5壮し、まだ痛む様であれば更に5壮。
耳尖穴:耳を縦に折った先端に5壮。(逆睫にも有効)
天柱、風池:後頚部の血行を良くし、眼部の痛みを緩和。
肩背部の諸穴にEAP
眼周囲の諸穴にEAP

眼精疲労

(診察)
目を使う仕事をすると容易に疲れ、痛み、かすみ、羞明、充血、流涙などが起こり、全身症状として頭痛、悪心、肩凝り等を起こす状態を言う。
調節性(老眼・近視)、筋性(斜視・輻輳不全)、症候性、不等像性(乱視)、神経性眼精疲労に分類される。

(効果の良い症状)
神経性眼精疲労や軽度の老眼・近視による眼精疲労。

(効果の良くない症状)
強度の老眼・近視、輻輳不全、乱視など。

(治療)
中谷A・B点の低周波置針療法。
眼窩内の血流・筋疲労改善:眼窩内刺針(球後・増明1)。
頸・肩の懲りを取る:天柱、風池、肩井。
目の充血を取り、痛みを和らげる:耳針限点の瀉血。
目の痛みを和らげ、明らかにする:睛眼。
肝兪:肝の機能を調整する。肝は目を司る。

色覚異常

(診察)
視細胞の錐状体に異常が生じ、色彩感覚が失われる色光感受性の障害。
母親から伝わる伴性遺伝である。
赤緑色盲と青黄色盲に大別出来る。
軽度の赤緑色盲や赤緑色弱は、鍼灸治療により色覚の向上する可能性があり、色盲表検査では正常となる事も希ではない。

(治療)
色盲治療の新分野を開拓した中谷博士の色盲治療8点を中心に行う。

  • A点:外眥と耳輪脚付け根とを結んだ線上の前3/1。
  • B点:上記の線上の後3/1。
  • C点:F650巨髎穴。
  • D点:F58光明穴。

以上の良導点に20分間置針し、施鍼時、10分後、抜針時の3回、EAP7秒通電を行う。
難治の者に対しては全良導絡調整療法を行う。
追加治療点:百会、天柱、風池、和髎、四白、睛明、絲竹空、瞳子髎、翳風、翳明などから選穴する。

◎応用

  • 赤色盲・色弱:曲泉、侠谿に補針。
  • 緑色盲・色弱:足臨泣、大敦に補針。
  • 肝腎陰虚証:太谿、復溜、肝兪、腎兪補針。

ドライアイ

ドライアイ(角膜乾燥症、乾性角結膜炎)とは、様々な要因により涙や粘膜に起こる慢性疾患のことである。
ある調査によれば、オフィスワーカーの約3割、またコンタクトレンズ使用者の約4割がドライアイだと言われている。
涙は、悲しい時や痛い時に出るだけでなく、常に少しずつ分泌され、眼の表面(角膜・結膜の表面)を常に薄い涙の膜でおおって保護し、栄養を与えている。
涙の層は、角・結膜側から順に粘液層、水層、油層の3層構造をとっている。
この涙が減って、眼の表面が乾いて、いろいろな症状を起こしてくる状態をドライアイといわれている。
基本的には、乾性角結膜炎や涙液減少症というのも同じことで、ドライアイという用語は、非常に軽度の人や涙の質的異常の人も含めて広く使用されている。
とえば、傷がなくても眼が乾くという症状があればドライアイだし、涙の水分量は正常なのに短時間で蒸発してしまう場合(油層の形成が悪い場合)もドライアイと言う。
それに対して、涙液減少症は涙の量が実際に減少している場合に、乾性角結膜炎はそれに加えて何らかの傷がある場合に限定されて使用される用語である。しかし、最近はすべてドライアイで総称するようになってきている。

(症状)

目の乾燥、目に異物感、目の疲れ、充血、光がまぶしい、目がかすむ、眼痛、視力低下眼が乾く、ころつくというような症状が一般的であるが、軽いタイプのドライアイでは充血する、眼が疲れるといった症状の場合もある。重症の場合は、視力も低下してきて、ころつきをとおり越して眼痛を訴えることもある。
ドライアイは左右差はもちろんあるが、通常は両眼性である。